A Different Bomb

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きっかけとなったのは、友人の映画監督イーサン・シルヴァーマンが制作した素晴らしく感動的なドキュメンタリーで、アメリカ人夫婦がロシアの少年を養子にするという内容だった。チャリティの基金集めをしている身として(多分それに加え慈善家として活動を始めたばかりだったこともあり)、そのような児童養護施設を支援したいと考えた私は、しかるべき連絡先をインターネットで見つけられないか調べてみることにした(他の手段については既に試しており、うまくいかなかった)。「ロシア」や「児童養護施設」など、様々な言葉で検索してみた。性的な言葉やわいせつな意味に取られるような用語など一切使っていないはずだった。しかし、ただ一つの例外が「少年」という言葉だ。きっとそれが浅はかだったのだろう。 その検索ワードを入力した約10分後、私の目の前に現れたのは2歳ほどの男児が顔を隠した男に犯されている「無料」の画像だった。ページ上には幼児とのセックスは「ロシアでは法律で禁じられていない」と注意書きがされていた。ただのわいせつ画像なんてものではない、実際にレイプが行われている現場だ。被害者の子どもがもしその経験の後も生きながらえて、私はたまたまその画像に行き着いただけだったとしても、この子はいつか自らの命を絶ってしまうだろう。自分の意志とは別に物事が進み、引き起こしてしまうインターネットのメカニズムのひどい現実というものを目の当たりにして、私はショックを受けた。そして電話に手を伸ばし、警察にダイヤルして、私がこの画像にたまたま出くわしたのと同じ手順を踏んでもらおうとした。そうすればポルノ業者の逮捕に繋がるだろうとの思いからだった。 しかしその後、考え直した。それほど親密なものではないとはいえ、かつて自分と関係のあった人間が現在裁判中であることを念頭において、警察に電話をする代わりに弁護士に内密にこの件を話してみることにした。彼の助言は「何もしない方が良い」というものだった。そして、「証拠」としてその画像をダウンロードするような真似は決してしてはならないと念を押した。私は彼のアドバイスに従った。つまり、一切何もしなかった。
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