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「安【ヤス】!おい!起きてんのか!安【ヤス】!」
目覚まし時計より先にけたたましく叫ぶのは親父の声。
寝惚け眼のまま買い与えられた携帯の時計を目にすれば……6:58。
ああ、あと2分安息な睡眠が出来たハズなのになぜ起こされにゃならんのだ。
と、おもいつつもヤカマシイ親父が更にヤカマシくなるのはそれはそれでかったるくもある、仕方なく起きる事にする。
台所に立つ親父に一声掛けて洗面台へと向かい登校の準備、寝癖を直すのに一番いいのはコレっきゃねーっ!っという家訓的?な濡らしたタオルをレンジでチン。
そのタオルを頭に乗せつつ歯ブラシを口にツッコミ顔を洗いつつ……そんな高度なテクニックを誰に見せるでもなく披露してると鏡に背後の様子が見えた。
そこには親父のフランスパン、もとい……驚愕な長さのリーゼントが写っている。
「……なにしてんの親父?」
そー訪ねてみると、親父は珍しく緊張した声で鏡に見直った。
「い、いや、格好……可笑しくないか?」
グラサンに黒いスーツ、金ネックに……うん。
「出直せチンピラ、てか入学式くんな」
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