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「みんな……どこ……?」
森の中を男の子が歩いていた。背中には前の日にルンルンとした気持ちで用意をしたリュックサックがあるが、男の子の様子には昨日のそんな気持ちが全く見られない。
暫くして、1本の桜の木が見えた。遠くからでも殆ど全体が見えず、その姿は今まで泣いていたことを忘れさせるほど美しいものだった。
「わあ……。あれ、あれなんだろう?」
その桜の木の下に1つ祠があった。
男の子はその祠に近づいた。紙が沢山貼ってあり、よく見ると字のようなものもあるが、風化していて読めない。それを見ようと祠に手をかけると――
祠は、崩れた。
紙と同じく風化していたのであろう。また、周りには崩れている元祠が沢山あった。
「どうしよう……」
しかしそんなことに気付くことはなく、男の子は突然の出来事にただ戸惑うことしか出来なかった。
そして、〈それ〉は起こった。
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