プロローグ

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肩に腕を回され、グッと寄せられきょとんとする二人。そんな二人の耳にリサはトーンの低い声で囁いた。 「街が昨晩ロンドンに"死神兄妹"が出たって噂で持ちきりだったんだけど」 その言葉に真っ青になった二人は顔を見合あせ、力なく笑みを浮かべた。 お互い、ヤバいと感じたのは同じだろう。 「この間、殺し屋の仕事受けるなって言ったはずなのにねぇ……?」 「ごごごごごめんなさいぃぃぃぃ!!」 「問答無用!!」 拳で頭をぐりぐりと押しつけられお互いの額がぶつかる。目に涙を浮かべながらぐりぐり地獄から抜け出そうとしていると、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「あれ、リサ!マイルにカイナも!」 「な、なにしとん…?」 何とか抜け出したマイルは、二人をナーシャとザイシと呼んだ。 ナーシャは高いところで一つに結った焦げ茶色の髪を揺らしながら、隣に居るザイシと顔を見合わせた。 ふいに現れた救世主にマイルは無理矢理笑い二人に駆け寄り、リサは逃げられたと小さく舌打ちするのだった。 「またマイル暴れたんやろ?クラスが騒いで授業にならんかったわ」 「おう、オレ有名人!」 「自慢することじゃない!」 調子にのったマイルは、もう一つ頭に拳をくらうのだった。
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