3. 転機

2/9
前へ
/22ページ
次へ
2、3ヶ月経ったくらいだったかな。 ある日、事件は起こった。 僕の中では もう大事件だ。 ガラガラガラ… 「はい、 おはよーございます。」 『おはようございます。』 「えー…今日から、 新しい仲間が増えます。」 教室内がざわめく。 「入って来なさい?」 そこに入って来たのは… 何とも可憐で… 清楚で… 可愛らしくて…。 何処か気品を漂わせた、 懍とした姿…。 「初めまして! 沙原美歌(さはら みか) と言います! よろしくお願いします!」 教室内は 一気に盛り上がった。 「じゃあ、皆 仲良くするように!」 『はーい!!』 「じゃあ、 沙原の席は……… 小崎の隣りに座ってくれ。」 「はい!」 …え!? クラス中の視線が 一斉に僕に集中する。 皆 痛いくらい 恐いくらい 睨みつけてくる。 「よろしくね! 小崎くん!」 「あ……… はあ……どうも…。」 沙原さんが 静かに席に座る。 変な意味じゃないけど… すごく いい匂いがした。 落ち着くような 優しく包まれるような 不思議な感じだった。 でも… いずれはこの娘も いじめっ子の仲間入りだよね… 別にいいけどさ。 「はぁ…」 と小さく溜め息をついた。 でもまさか この娘が僕の 人生の転機になるなんて この時は誰も 僕でさえも 思いもしなかった。  
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加