3. 転機

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この日は珍しく 朝早く起きれた。 時刻は6時前。 昨日、早く寝たおかげかな。 朝食を済ませ、支度をして 6時半頃には家を出た。 【早起きは三文の得】 らしいしね。 まだ朝早い。 人通りも少ない。 いるとしても ウォーキングやジョギングをしてる 高齢者の方々くらいだ。 いつもの番犬くんは まだ朝早いせいか まだ夢の中だ。 これが 【一文の得】かな。 小言おばさんも まだ掃除には出てきてなかった。 これが 【ニ文の得】だろう。 坂道は… 相変わらずの斜度だ。 当たり前だけど。 でもまあ 早起きも たまには良いもんだ。 学校に着いて 教室に入る。 もちろん 誰もいない。 静かで良かった。 僕は一人 読書する事にした。 どれくらい 時間が経ったのかな。 学校内が 徐々に騒がしくなってきた。 すると………… 「お前、何 本ばっか読んでんの?」 クラスの奴が 僕から本を取り上げた。 「ちょっ… …返してくれよ。」 「お前、暗いんだよ! いつもこの本 大事そうに抱えててさ。」 「…大切な本なんだ。 返してよ…。」 ぞろぞろと クラスの奴が教室に入って来る。 「おい! こっちに本回せよ!」 「こっちこっち!」 『キャハハハハ!!』 本は人から人へ 次々と渡っていく。 「早く取り返してみろよー!」 「や…やめてくれよ…!」 すると 一人のクラスメートの所で止まった。 「も…もう返してよ…。」 するとその クラスメートは無言で ビリッ…!バリッ…! ビリビリビリッ……… 「おはよー!」 沙原美歌が来た。 「皆、何やって……」 目の前には 無惨にも破り散らかされた 本があった。 「…小崎くん…?」 僕は 何も言葉が出なかった。 「いい加減にしなさいよ!!!!!」 沙原美歌が 叫んだ。 「よってたかって… 皆、 小崎くんの事 いじめてんでしょ!? 恥ずかしくないの!? 何とも思わないの!? …ばっかみたい…!!」 皆 唖然とするばかりだ。 もちろん僕も…。 「行こっ。」 と、沙原美歌は 僕の手を取り教室を出る。 何故か沙原美歌は 泣いているように見えた。 これが 【三文の得】なんだろうか…。
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