0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は絞り出すかのように「……どういう事だ?」としか言えなかった。
「空ちゃんを要に紹介しようって美佳と話してたんだ。でも、そう言えばあからさまだから要に紹介するんじゃなく俺に紹介するようにしてあわせた。賭けではあったけど要も空ちゃんと気が合ってたみたいだしよかったよ」と真実を立て続けに言う裕也の声は俺には届いてなかった。
俺は大変な勘違いをしていたのか……。
空が好きだったのは裕也じゃなく、俺……?
最初に裕也と美佳の事を話した時に見せた表情は?
俺が好きだったならあんな表情はできないはずだろ。
でも、でも本当に俺が好きなら俺はなんて事を。
今まではあくまで『裕也のため』という絶対的な意思があったから何とも思わなかったけど、それが無くなれば胸に広がるのは限りない罪悪感。
彼女が本当の事を知ればどうだろう。
好きな人に最初から騙され続けた彼女は。
たぶん俺を嫌いになるだろう、いやトラウマにだってなるかもしれない。
何よりあの微笑みを俺に向けてくれる事はない。
まただ、そう考えるとまた胸が苦しくなる。
彼女の側に居られないと理解する度どんどん胸が締め付けられる。
これは罰。
彼女を騙し続けた俺への罰。
あぁ、偽りなんかじゃなく本当の恋愛感情を俺はもっていたんだ……。
最初のコメントを投稿しよう!