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急に呼び出されたことに驚き「何かあった?」と言って心配してくれる空の優しさが今の俺には辛い。
もうそんな資格俺にはないから。
いや、最初から資格なんてなかった事に気付いたから。
「話さないといけないことがあるんだ」そう言って俺は全て話した。
俺の目的も、空に対する態度も、いつしか本当に空が好きになったこと以外全て。
俺は「ごめん」としか言えず深く深く頭を下げた。
許しを請うわけでもなく、ただ謝罪として。
顔を上げるのが怖かった。
空の顔を見れない、見たら全てが終わってしまう。
責められても無視されても全て受け入れる、そう覚悟していた。
でもそんな俺に投げられたのは
「知ってたよ」
たったそれだけでも予想外の言葉だった。
俺の頭が真っ白になった。
知ってた?何を?俺がやってきたことを?
「……いつから?」と俺の疑問がそのまま口に出ていた。
つい最近だろうか、それもこの前出かけた後に。
だってそうじゃないと不可解だ。
でも「二三回目に出かけた時くらいから、かな」と空の発言は再び予想外だった。
それなら数週間で気付いていたって訳か……?
嘘をついて騙していた俺に気付きながらもずっと一緒にいたということか?
「だって最初に話しかけられた時も凄く辛そうだった」だって?
そんな事はない、呆然とする彼女を『いい気味だ』と嘲笑っていた。
空は「必死に隠そうとしてたけど私にはわかったの。ずっと要君を見てたから」と伏し目がちに言う。
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