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そうだったのか?
本音では我慢していたとでもいうのか?
違う、違う違う違う!そんなことない!
もう我慢が出来なかった。
気が付くと「ならなんであんな笑って!!」と怒鳴る様に叫んでいた。
「だって好き、だから。確かに哀しかったよ?でもそれ以上に要君と一緒に居れて嬉しかったの」と言われたとしても納得できない。
出来るはずがない。
哀しい以上に嬉しい?
こんな奴と一緒に居たって逆に虚しいだけじゃないか!
「そんなっ……」と反論しようとする言葉も「それに最近は昔の、私が好きになった要君と同じ目をしてたから」という言葉に遮られる。
俺が空を好きだと自覚したのはつい先日だぞ?
偽りだと否定していた気持ちが無自覚に現れていたのか?
たしかに最近は特に意識せず接していたけど……。
俺はそれを感じていたのかと問い詰めたくて顔を上げたけど、空と目が合って何も言えなくなってしまった。
空は目を逸らさず「それとも要君も私と同じになってくれたって思うのは私の勘違い、なのかな……」と瞳に大粒の涙を零さないようにためて言ってくれた。
泣いて……る?
あれだけ酷いことを俺に言われても泣かなかった空が泣いている?
空の言ってることは勘違いなんかじゃない!
俺だって空が好きだよ。
好きだけど……、だけど俺にそんな資格はない。
でも好きな奴が泣いてるのに俺は放って置くなんてできない。
気付いたら空の体は俺の腕のなかに収まっていた。
「えっ……?」と空は呟きながら現状を理解していないまま腕の中に収まっているけど、もう離すつもりなんかない。
そして俺は小さく「こんな俺でも許してくれるか?」と言った。
今だ戸惑う空に聞こえたかどうかはわからないけど、背中に回された手に力が込められたって事は、そう判断してもいいんだよな?
今度は俺に信じさせてくれ……。
俺のしたことは許されるものじゃないだろう。
でも、もし空が許してくれるのなら一緒にいてもいいか?
ずっと一緒に……。
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