初めは偽り

出会い

俺の考えは簡単。
俺が彼女に恋をして、遠回しに裕也が美佳を好きなことを話して進路を塞ぐ。
こんな気の弱そうな女だ、自分の意思を貫くことは難しいんじゃないか？
なにより告白してきた俺を振って裕也に告白するとしても裕也の気持ちが向くことはないし、ただ俺と裕也の仲を引き裂くだけ。
あ、そうだ。
二人を一緒に応援しようとでも言おうか。
押して、押して、押して無理にでも認めさせる事ができたら完璧じゃないか。
あの女が悩み苦しもうが関係ないね。
全ては裕也の為なのだから。
でも裕也には知らせないようにしないといけないな。
これはあくまで俺の独断。
裕也が気に病む必要はないし、裕也を苦しめるつもりなど元よりないから。

まず初めは裕也と引き離しておくか。
美佳と裕也は仲良さそうに話しているけど美佳があの女に話を振るため一々会話が途切れてるし。
美佳は応援するために話を振って裕也と少しでも交流して欲しいんだろうけど、盛り上がってる途中で話を切るあの女は裕也と美佳が話をするには邪魔だ。

だから俺はあの女を少し後ろに下がらせて二人で話すようにした。
名前も呼ばずぶっきらぼうに呼んだ俺に多少びくついていたけど、まぁ仕方ない。
名前なんて覚えてないしな。