恩情

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「ハイ。正義といいます。親のアタシが、あんなこと仕出かしたんで、せめて、息子には真っ当に生きて行って貰いたいと思いまして」 「正義君かあ。いい名前だ。抱っこしてやってるかい」 「そりゃもう毎日ですよ。風呂なんかも入れちゃったりして」 武藤は本当にうれしそうに頭をかいた。 「警部、そろそろ」 菅野が耳打ちした。 「わかっておる」 石狩も小声で返した。 すると、それが聞こえていた武藤は 「解っております。一年待っていただき、スイマセンでした。今、準備してきます」 立ち上がり、奥の部屋へ行こうとし 「でもな・・・」 と呟いた。
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