恩情

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「どうした武藤」 「え、いや、なんてゆーか、コイツの、正義の幼稚園での、おゆうぎ姿を見たかったなあなんて思いましてね」 武藤は目頭を押さえた。 すると石狩 「見に行ったらいいじゃないか」 「えーっ」 菅野叫ぶ。 石狩は 「やっぱり子供の、お遊戯は見たいよなー。俺なんかも一人娘のお遊戯、楽しみにしてたんだけど、ちょうどその時期、あの世間を騒がせた、三万五千円強奪事件の捜査で忙しくて、行けなかったんだ」 「あるかー、そんな事件!」 菅野のツッコミ。 そんなことより、武藤は目がウルウルなって来ていた。 「ア、アタシ、息子のおゆうぎ姿が見れるんですか」 石狩は頷き、武藤の肩に手を置き 「おー、行って来い。ムショに入れば、長くなるんだし。また、五年後来るわ。逮捕は、その時までお預けだな。よし、帰るぞ、菅野!」 「エーッ!」 菅野は困ってしまったが、しかたなく石狩に従った。
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