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彼女らの顔を見たとき、以前見たときとだいぶ変わっていたので、一瞬誰なのかわからなかった
しかし、次の瞬間にはすっかりと思い出していた
彼女らは中学時代の同級生だ
これを言うと、ものすごく嫌なやつのようで、正直言いたくないのだが、俺は中学時代、結構に女子の間で人気があった
彼女らも、その女子のうちの一部であり、ありがたいことによくサッカーの応援なんかにも来てくれたのを覚えている
「本当だよぉ。寺田君せっかくメアド教えてるのに、ぜんぜんメールしてくれないんだもん!」
「え?あんた寺田君のメアド知ってるの?」
「ずるい!抜けがけはしないって約束だったじゃない!」
いきなりそんなことを声高々に話し始める彼女らを、俺はこのときあまり快く思っていなかったことは言うまでもない
別に、彼女らのことが嫌いだとかそんなわけではないのだ。前述したように、彼女らはよくサッカーの試合のときに応援に来てくれたような人たちだから
しかし、今は状況が状況だ
目の前にいる女の子が、微妙な顔つきに変わってきたからだ
「…ていうか、寺田君、この人だれ?」
おもむろに、3人のうちの1人が、真崎さんのほうを見ながらつぶやいた
明らかに、それは先ほどまでの甲高い声色ではなかった。低く、平坦なその声は、彼女の心境をそのまま表しているようだった
「彼女……ってことはないよね?」
すると、もう1人がそんなことを言い出した
睨み付けている、というほどでもないのだが、明らかにその視線の先にある人物のことを快く思っていないという
そんな信号を発しているかのような、目つきだった
言うまでもなく、そのテーブルを囲んでいる空気は、胃が痛くなるような重いものに変わってしまっていた
「あ、ええと…彼女は」
とにもかくにもそれらしい説明を
そう思って俺が口を開こうとした瞬間だった
「違います!」
ダンと、テーブルをきつくたたく音とともに、立ち上がったのは真崎さんだった
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