再会

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「俺は碓井 桂吾(ウスイ ケイゴ)。彼女居ない歴二十三年の二十三歳です」 「寂しいね」 「うるせぇ。所詮良い人止まりなんだよ、俺は」 口を尖らせたながら桂吾は気に食わなそうに言った。 告白した女性からはいつもそう言われ、振られていたのだ。 「それより、お前も早く言えよ」 「ん? あぁ、そうだったね」 黒ネコは思い出したように言った。 「十三歳のメスです」 「うん」 「以上です」 「名前は?」 「忘れました」 「はぁ?」 桂吾は眉間にシワを寄せ、黒ネコの方を向いて言った。 「いやいや、年齢覚えといて名前忘れる訳ないでしょ」 「忘れたくて忘れたんじゃないもん」 「それにしても、十三って結構行ってるな」 「何がです?」 「ネコで十三歳は長生きだろ。違うのか?」 「違いますよ」 「違うのか」 「それは死んだ時の歳ですから」 ──刹那。 一人と一匹の間に風が吹く。桂吾にとっては瞬間的な時間が何秒もたった様に感じた。
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