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「死んだ……時?」
「そうですよ。驚くのも無理は無いですよね」
「じゃ、じゃあお前はオ、オバケなのか!?」
桂吾は座りながら後ろに下がり、黒ネコとの距離を取った。
「オバケ……うーん……違うようで間違ってない……半分正解半分間違いですね。だから、逃げなくて良いですよ」
桂吾だけが焦っていて、黒ネコだけが苦笑いしながら喋っている。
傍から見れば人間とネコが喋っているという只でさえおかしな光景が、尚更おかしくなる。
「じゃあお前は一体……」
桂吾が四つんばいになって元に座っていた場所に戻り、尻からドシンと座る。痛い。
「来世待ちです」
黒ネコは表情の一つも変えずに、サラリと言った。
「ら、来世? その黒ネコの体が来世何じゃないのか?」
「違いますよ。ネコの来世はネコ。人間の来世は人間です」
「つまり、お前は何なんだよ?」
「だから、この黒ネコは仮の姿。私は一週間前に死んだ元人間で、オバケでは無いけど……生と死の間にいる感じですね」
桂吾はいつの間にか掻いていた汗を手で拭った。
「だから、漫画で知った何て言えたのか。今考えたらおかしい……」
「気付くの遅いですよ」
「今、気付いたからセーフ……だよ……」
桂吾は年下に馬鹿にされた事に傷つきながらそう言った。
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