出会い

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「ダメかな?」 ほら、ネコが喋っている。 ネコは基本「ニャー」なのに、こいつは「ダメかな?」なんて言ってきた。 「ダメかニャー?」ならセーフだったんだが……いや、やっぱりアウトだ。 とにかく俺が疲れていたせいで、幻聴が聞こえてしまったのだ。 確かに最近、仕事終わりにハローワークに行ったり、今日のように眠れない日が多かった。 疲れが貯まっていて、ピークに達してしまいそうなのだ。 これは、体の最終警告。明日、病院に行こう。 「返事くらいしてよ」 「喋るな! 大丈夫! 明日病院行くから!」 「見た所健康そうだけど……」 「何か悪い病気何だよ!」 「内側ですか」 「あぁ、きっと脳みそに……ってネコと会話してしまったぁぁぁ!」 俺は頭を抱え、叫び、その場から逃げるように走った。 「えぇ!? ちょ、どこいくの!」 「うわぁぁぁ!!」 行きは5分程歩いた距離も、帰りは2分程で家路に着いた。 小さなアパートの三番目。つまり一番奥のドアに飛び込むように入り、倒れ込むように座り込んだ。 「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」 久しぶりに全力で走ったため、暫く息は荒く、汗も噴き出した。 息が少しずつ収まってきた時、木で出来たドアがコンコンと音を立てた。 一瞬あのネコかと思ったが、ネコがノック出来るわけ無いと直ぐにその考えは無くなった。
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