9人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「ダメかな?」
ほら、ネコが喋っている。
ネコは基本「ニャー」なのに、こいつは「ダメかな?」なんて言ってきた。
「ダメかニャー?」ならセーフだったんだが……いや、やっぱりアウトだ。
とにかく俺が疲れていたせいで、幻聴が聞こえてしまったのだ。
確かに最近、仕事終わりにハローワークに行ったり、今日のように眠れない日が多かった。
疲れが貯まっていて、ピークに達してしまいそうなのだ。
これは、体の最終警告。明日、病院に行こう。
「返事くらいしてよ」
「喋るな! 大丈夫! 明日病院行くから!」
「見た所健康そうだけど……」
「何か悪い病気何だよ!」
「内側ですか」
「あぁ、きっと脳みそに……ってネコと会話してしまったぁぁぁ!」
俺は頭を抱え、叫び、その場から逃げるように走った。
「えぇ!? ちょ、どこいくの!」
「うわぁぁぁ!!」
行きは5分程歩いた距離も、帰りは2分程で家路に着いた。
小さなアパートの三番目。つまり一番奥のドアに飛び込むように入り、倒れ込むように座り込んだ。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
久しぶりに全力で走ったため、暫く息は荒く、汗も噴き出した。
息が少しずつ収まってきた時、木で出来たドアがコンコンと音を立てた。
一瞬あのネコかと思ったが、ネコがノック出来るわけ無いと直ぐにその考えは無くなった。
最初のコメントを投稿しよう!