再会

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「仕事は無いんですか?」 頭の上から声がした。 人がいたのか! 聞かれなかったかな? 恥ずかしさから恐る恐る目を開けると、そこには気持ち良さそうに浮かぶ雲があった。 それだけだった。 人はいなかった。 ……まさか! 筋肉痛の痛みを忘れて寝ていた体を思い切り起こし、右方向に捻る。 「うおぉ! ってあれ? 昨日の人じゃないですか?」 黒ネコが驚いた顔で喋っていた。 「見付けた……」 「あら、探してくれてたんですか? 嬉しいなぁ」 「まぁ、そうだな」 俺は痛みを我慢して、黒ネコの横に座った。 「あれ? 昨日みたいに逃げないんですか?」 「もう慣れたよ。それに逃げれる自信もない」 そういいながら、足を撫でるように触った。 「怪我か何かですか?」 「んー……そんな所だ」 「へえぇ……」 黒ネコは、そう相槌を打った。 「それより、お前は何者だ? 化けネコの類か?」 「失礼ですね。違いますよ。しかも、相手に尋ねる場合はまず自分から。マナーです」 「どこでそういうの覚えるんだか……」 「漫画です」 「なるほど」
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