プロローグ 変化する日常

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両親が死んだ後も、この家に残ってくれた唯一の家政婦さんだ。 長く細い黒髪、色白の肌、俺より低い身長で、年相応に見えない童顔。 優しくおとなしい性格で、怒る事もほとんどない。 俺も極力彼女には迷惑をかけないようにしている。 「茜さん、いつもありがとうね」 「いえ、私は住まわせて貰ってる身ですから」 彼女の名前は佐伯茜(さえきあかね)さん。 俺と茜さんはこの無駄に大きな家で、二人で暮らしている。 今じゃ茜さんが俺の母親代わりだ。 「お、今日は随分豪華だね」 家の居間、西日が射し込む和室。 父さんが洋風より和風の方が好きだった為、この家は日本風の造りとなっている。 木造二階建てのシブい日本家屋だ。 ただ、無駄に広い。 「明日は宗一様のお誕生日なので、その前夜祭という事で今日は頑張ってみたんですけど、お口に合うかどうか…」
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