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女性を知る…。
それはつまりキスやハグ…、そしてあんな事やそんな事をするって事か…。
「そ、そうかもね…」
まぁ面倒な事が嫌いな俺は、本当にピンチになるまではあまり動きたくはない。
女を知らなければならない理由なんて今のところはないし、いつも通りの方が楽しいだろう。
だからといって、俺だって年頃の男。
機会があれば女の一人や二人…
「宗一様。これを…」
茜さんが綺麗に片付けられたお膳の上に置いたのは、『宗一へ』と書かれた封筒だった。
俺はそれが何なのか知っている。
俺の母親はもう七年前に事故で死に、父親は三年前に病気で死んだ。
父は死ぬ前に、茜さんに手紙を渡していた。
それは俺の誕生日が来る毎に一通ずつ茜さんが渡してくれる。
それが今渡されたこれだ。
「宗一様、これで三通目です。ご主人様より渡された手紙はこれで最後になります」
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