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夏とはなんと開放的な季節だろう……。俺は勝手にじーんと感動する。いいね、夏は! 汗臭い奴が増えるのは業腹だが、そんときは常備してる割り箸のにおいをかげばいいし。うん、夏はいい!
そんな感じで、普段は隠れてる女子のへそのラインを夢想していると、現実に引き戻す幼馴染の声が耳に入った。
「きょっぺ、またすけべぇな顔してる。ぼくはそんな顔してるきょっ……男は嫌いなんだぜ?」
きょっぺとは幼馴染が使う俺の間抜けなあだ名である。意外と愛着性のあふれるあだ名なので俺は意外と気にいっている。
「あかり、夏とはそういう季節なんだ。男がすけべぇになる季節、男がそうなれねば夏に対して申し訳ない、そんな季節なんだ」
「うん、それ、雄一みたいなんだぜ、それ」
「マジか……」本気でへこんだ俺は意識して顔を引き締める。
ちなみに雄一ってのはもう一人の幼馴染である。傘がやつにとっては聖剣であり、色が赤黒い理由は敵のかえり血を浴び続けてきたからだとマジな顔でふざけたことをいう中二病野郎だ。
「それにしても、暑い……きょっぺ、ぼくはアイスが食いたい」
「……中に練乳が入ってる棒アイスならいくらでも買ってやろう」やだな、さっきの妄想は関係あるませんよ。
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