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「むう、あれはあれで意外と快適なんだぜ? なにせあったかい」
と、あかりはほっこりとしあわせそうな緩い……いや、余人にはお見せできないようなだらしない笑みを浮かべた。変態の考えることは分からないね。わかったら俺も変態になっちまうから、今後わかることもないに違いない。
「そうか、そいつはよかったな」
俺のテキトーな返事を気にしてか気にしないでか、
「よかったといえば、きょっぺよ」
「なんだ?」
「きみ、最近告白したそうだね? 相手は一体だれかね? 幼馴染であるぼくに黙ってそんなことするなんて許されないことなんだぜ?」
思ってもみない言葉に、俺は思いっきりむせた。あかりは盛大にせき込む俺を気遣うそぶりを見せないどころか「しゅっしゅっ」とか言いながら、えぐり込むようにボディブローをかましてきやがっている。
まあ、とりあえず噂に尾ひれがつきまくってることだけはよ――――――――――――――く分かった。いろいろつっこみたいことはあるが、今はそんな余裕はないため、言いたいことは一つに絞らせてもらう。
「あかり、よく聞け。俺は誰にも告白なんざしちゃいねえ。言いたいのは、俺は近年まれに見るほどの変態にからまれた被害者だ。断じて、告白なんざしていない。俺を信じろ、あかり……!」
「そっ、そんな、きょっぺ……! わ、分かったんだぜ! ぼくはきょっぺだけ信じるんだぜ! この、メイドキャップに誓って!」
なんか、いろいろ台無しだと思った。
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