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俺をよく連れうんこに誘うそいつは、相手をしてやればやるほどどんどんつけあがる八つだ。しかし、逆に相手にしなければ大人しくなるやつだ。同じ変態である城中沙耶も同じだろう。
ツッコミを入れたいのはやまやまだが、ここは堪えるとする。こういうのは最初が肝心なのだ。変態のセリフを清流のように聞き流し、
「なあ、あかり、ちょっと良いか?」
「うん? なんだい、きょっぺ? 今日の言い訳はもう考えたのかい?」
「ああ、それはばっちりだ。心配はいらない」
「……むしろ、毎回言い訳しか考えてない君の将来が心配なんだぜ……」お前は俺のおかんかよ。ほっとけ。「まあ、いいや。ところで、なんの用だい? 大切なきょっぺの話だ。どんなにくだらないことでも耳は貸すよ」
さらりとけなされた気がする。
「いや、今日の帰りさ、一緒に飯でも食いに行かないか? っていう誘いなんだが」
「行く」即答だった。
「そっか。雄一はどうする? あいつも誘うか?」
背後の気配をなお無視し、俺は言葉を発した。
「……それはどっちでもいいけど……」と、あかりは言葉を切って俺の後ろに目をやってから、「それよりも、きょっぺの隣に座ってる子の方が気になるんだぜ? ハンカチを噛んで『キーッ』みたいなことしてる……」
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