26人が本棚に入れています
本棚に追加
「まじか!?」と、俺は慌てて城中沙耶のほうを向く。
だってそりゃあなた、さっきのあかりのセリフを聞いたら振り向かざるを得ないでしょ。漫画ではちょくちょく見かけるその、ハンカチかんで『キー』をリアルで見れるなら変態と目を合わせるくらいどうってことないさ!
できることなら写メりたいくらいである。補習に参加するようなバカなら誰か撮ってるに違いない。あとで聞き込みして送ってもらわないと!
リアルにそのシーンを拝めるということにワクテカした俺は、実際にそれを見て、絶句した。悲鳴をあげる余裕すら、奪われた。要因はいろいろある。
思っていたよりも城中沙耶の顔が近かったこととか、思っていたよりも笑えないなとか、思っていたよりも微笑ましい絵面じゃないんだなとか、ハンカチの柄がクマさんでしかもちょっと引きちぎれて悲惨なことになってるとか、本当にいろいろ。でも、一番は、あれだ。城中沙耶の顔だ。
城中沙耶は、頭の中こそ残念すぎることになっているが、見てくれだけなら良い。カラスの濡れ羽色と形容するにふさわしい、セミロングとロングのサラサラなストレートヘア、そんな綺麗な黒髪にぴったりの涼しげな綺麗な顔立ち。去年、可愛い子ランキングで5位に輝いたあかりとタメをはれるくらいだ。まあ、胸に関してはあれだ。ちょっと発育の良い小学5年生相手に勝負をしかけたら、一首(いちくび)さで勝てるくらいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!