ことの起こりはこうだった

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 割り箸はいいものだ。確かに、きれいに真っ二つに割れないときの苛立ちは如何ともしがたいものではある。  だ、が、しかーしッ!  割り箸にはその苛立ちを踏まえてさえなお光り輝く利点があるのである。一袋百膳入りのパックはまことにお買い得であるし、洗わなくていいし使い捨て出来るし。森林破壊? はん、そんなのは分かりきったことだ。だから俺は小学校高学年あたりから、使えるものを何でも使い、植樹行動に勤しんでいるのだ。よって割り箸を心おきなく無駄遣いできる。それに学校に置きっぱにしてもなんの問題もないし、いや、問題がないどころか利点さえあるのだ!  たとえばの話! 学校に手作り弁当を持ってくる女子は少なからずいる。いや、このしけた学校には学食なる素敵設備はないし、購買も購買でしけたパンしか売っておらず、結果、大多数の女子は弁当を持ってくる訳で。  なかには、中身はあるけどはしが入ってなかった、なんてお茶目な展開がたぶんにある。否、なければならないのだ! そこで颯爽(さっそう)と話題にあがったり登場したりするのが、常に清潔できれいな割り箸を所持ってる俺なわけだ。  困る女子に優しく割り箸をプレゼントする俺。割り箸を渡す際にその少女と指先が触れあったりしちゃって、そんで俺も相手も顔を赤くなんかしちゃって。
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