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そろそろ腹も減って盛大に腹の虫が大合唱を始めそうな気配がしてきたので俺は指先に力を入れ、割り箸を割った。
――ぱきっ
その音は割り箸が割れる音を表すのと同時に、俺の日常……ひいては望む青春をずたずたにしちまうような破壊をもたらす音でもあったのだと、のちになって思うことになる。
「失敗か……」
割り箸は見事なまでに非対称に割れていた。左のほうが厚くなっている。そういえば、割り箸の割れ方で片想いだとか片想いされてるだとか両想いだとかくだらない、俺が大っっっっ嫌いな占いあったな、とか苦々しく想っていると、突風で前髪がふわりとなった。
気づけば、目の前には1人の少女が立っており、そいつは俺の両手をつかんでいやがるのだった。
「は……?」
あまりの唐突さと意味のわからなさに目をまるくしていると、
「この割れ方は……!」目の前の少女がやかましく叫ぶ。「君、わたしのこと好きでしょ!?」
「は……?」何、こいつ?
「いや、言葉はいらないよ、すべてはこの割り箸たちが物語っているのだから!」
よくよく見てみると、目の前の電波女の右手にも割り箸が握られており、不格好な割れ方をしていた。え、何言いたいのこの女?
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