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目を白黒させていると、言動基地外は俺の手から割り箸をひったくり、自分のそれと重ねて矯めつ眇めつし始めた。何この人。そして、幼馴染とクラスメートはこの女の奇行に何の反応も示さないのは何で?
いぶかしく思って、視線を巡らせる。幼馴染は相変わらずのんきに弁当をがつがつと平らげることに専念しており、クラスメートたちもこちらのことなど歯牙にもかけずにお昼時を楽しんでいた、こんな変な女が騒いでいるのに。
さすが城南(じょうなん)高校二年。県下一の馬鹿でアホな高校と言われ、その長い歴史の中でも最高にアホが集まってると噂されるだけのことはある。こんな変態が騒ぐくらいでは驚かない精神構造をしているのだろう。
「はうう、やっぱり! 割れ方がぴったり一致してるよ! うんうん、もっともわたしのほうは左じゃなくて右の方が厚く割れてるけど」
まだ騒いでいたのか……。言葉はいらないとかほざいてたのはどの口だ?
「おい」と、俺が苛立ちを隠さずに声をかけると、
「なに、ダーリン?」と、脳内花畑女は反応した。
「誰がダーリンだって? そして、誰が誰を好きだって?」
「もちろん」変態のくせに無駄に明るい笑顔で、「君、森山恭平(もりやまきょうへい)が、わたし、城中沙耶(しろなかさや)をだよ!」
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