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グシャッという効果音とともに、まず右手の骨が圧縮された。
紫の思っていたように一気に圧縮されるわけではなく、各部位から順を追って潰されていくようだ。
吹雪は悲鳴すら上げず、ただひたすら潰れていく身体のギシギシという悲鳴を聞いていた。
骨が圧縮されるという日常ではまず起こり得ない〝現象〟。
骨髄の中を通る神経がズタズタに断絶されていくのが分かる。
その感覚の後に襲うのが骨折の比ではない圧倒的な〝痛み〟。
骨に守られていた血管が切り裂かれ、内出血で腕が異様なほど赤く腫れ上がる。
グシャッ―
左腕。
グシャッッ―
右脚。
グシャッッ―
左脚。
右脚が圧縮された時点で支えを失った身体が赤い床に倒れる。
彼の四肢は腫れ上がり、出来損ないの操り人形のようにブランと力なく垂れ下がっていた。
『バキバキ……ッ』
「…ッッッ!!?」
接続が甘くなった右腕がちぎれ、吹雪の顔が蒼白する。
人間とは不思議なものだ。
身体の負荷が限界を迎えた時、
意識を遮断するのだ。
ブツンッ―
死ぬという〝結果〟を前に、吹雪の意識が消える。
それは死を迎える前の激痛を、少しでも和らげるための最後の慈悲なのかもしれない。
ベシャッッ―
肋骨が潰され、その衝撃で胸に収まっていた臓器が吹き飛ぶ。
バキッ…バキバキッバキバキバキッバキバキバキパキバキッバキベキンッバキバキバキッバキバキバキキッ……バンッ
激しい圧縮の連鎖のあと、滲み出る血が溜まった赤紫色の水風船が弾ける。
赤い床に飛び散る赤い血、赤い肉、肉、肉、肉、肉、肉、肉…。
バキッ―
ぐしゃぐしゃに潰れた身体に、
最後に残された付属品(アタマ)。
吹雪の端整な容姿が、少しずつ歪んでいくのが分かる。
ググッ…
グググッ―…
『バシャんッッッ』
【佐藤 吹雪】
勝利条件達成まで残り2回。
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