香川 勝

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「はぁ…参ったなぁ~。これで赤点二つ目か…俺は三年生になったっつうのに、なぁにやってんだろ」 夕焼けに赤く染め上げられたアスファルトに、長い影を踊らしながら、制服姿の青年が歩いている 「これじゃ、二年生の時と何も変わっちゃいない。いや、むしろあん時より年取ってる分悪いくらいだな」 溜め息を着きながら歩くその背中に、近付いてくる人影が一つ 「こら勝!あんた校門で待っててって言ったでしょうが」 「おぉ、なんだ梨香(りか)か」 「梨香か…じゃないわよっ他になんか言うこと無いの?例えば約束破ってごめんなさいとかさ」 「うーん…別段おまえに謝る事も思い付かないんだが?」 「なんですってぇ」 首を傾げ、うんうん考えている勝に、梨香はツカツカと歩み寄りながら襟首を掴もうとして 「おっとっ」 見事に避けられた 「それに、約束ってお前は言ってるが俺は約束を交わした記憶が無いんだが」 手をヒラヒラさせて梨香から距離を取る勝 「ちゃんと言ったわよ。今日の掃除の時に」 体勢を整えつつ、梨香も勝への距離を詰めていく 「あ、…あぁあれか?あんなんもん勝手にお前が、勝!今日は一緒に勉強やったげるから校門で待ってなさい!って言っただけじゃん」 梨香の声マネをしながら、勝は梨香との間合いを一定に保ちながら後進する
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