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「チッ、見失ったか…」
大通りに出た所で男達は勝達を完全に見失っていた
「どっ、どうしますアニキ?」
男達の中でも一番小柄な男が頭にバンダナを巻いた男を見上げて、不安げな顔を向けている
「あのガキを脅してあのガキが持ってるブツを奪う。それだけの簡単な仕事だったのに……」
小柄な男は、走って温まった身体には似つかわしくない青ざめた顔をしている
「この失敗が"上"に伝わったら…俺達…お、おれたちは…い、一体どうなるんすかね…ねぇ?」
もう1人の男も顔に冷や汗が浮かんでいる
「…………安心しろ」
バンダナを巻いた男は、視線を真っ直ぐ前に据えたまま答える
「でっ、でも!?真柴(マシバ)のアニキ!俺達このままだったら!なにされるかわかったもんじゃないすよっ!?」
「分かってる……だから少し黙ってくれ西田…」
「だって真柴のアニキ!
今おれたちはそうとうヤバいんですよ!?それが分かってルグヒウ………ッ」
西田(にしだ)と呼ばれた小柄な男は、なおもバンダナの男、真柴(ましば)にすがりつくようにしていたが急に動きを止めて"その場に浮いた"
「黙れと言ってるんだ…」
「ちょ!ちょと真柴さんヤメて下さい!そのままじゃ西田が死んじまうっ」
もう1人の男が慌てて止めに入る
西田は真柴に首を片手だけで捕まれ、その体勢のまま身体が地面から浮いていた。必死に抵抗するが真柴の手は離れない
「…………」
「ま……しば…さ……す…いま…ゆ、ゆる…し…」
苦しみもがく西田を横目に真柴の視線は正面から動かない
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