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月が明るく照らした新選組屯所のある日の夜の事――…
斎藤一は、縁側に腰を掛けボーッと月を見ていた。
その時、近くから足音が此方に近付いて来るのが分かる。
その足音は、何処か小幅が小さいような気がした。
―…っと、足音が斎藤の傍で止まり斎藤は目を伏せ言葉を発した。
「―――……こんな夜遅くにどうした、千鶴」
「…斎藤さんの方こそ、どうしたんですか?」
そこに現れたのは、綱道の娘である千鶴が斎藤の傍に立っていた。
「……あんたには関係無い」
「じゃあ、私も斎藤さんには関係の無い事ですね」
千鶴の思わぬ発言に、斎藤が目を開き上を見上げる。
パチリと千鶴の目と合って斎藤は再び視線を戻し、溜め息をついた。
「…夜の風を涼みに来ただけだ」
「涼みに…?
もしかして斎藤さん、眠れないんですか?」
っと千鶴は、斎藤の隣に腰を掛け言葉を発する。
すると斎藤は、視線を戻し千鶴と少し話す事にした。
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