僕は真面目です

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教室中の視線が俺に集中する。 こんなこと、入学してすぐの自己紹介の時以来だろう。 おいおい、俺は何を考えている。 何故今教室から出ているんだ。 昼休みに何か用があっただろうか? いや、なかった。 …トイレは一つ前の休み時間に行っていて今は問題ない。 では職員室だろうか? …俺は学級委員だが、今日はそんな連絡は担任から受けていない。 じゃあ、何故? 何故俺は迷い無く階段を上っている。 「あぁ?なんだお前?」 何故俺は、今この時間に屋上に来ている? 「あ…あぁ…」 女子生徒が言葉にならない声を出す。 赤に馬乗りにされた状態で、制服が乱れている。 あぁ、そこで俺は理解した。 俺、こいつらが気に入らなかったんだった。 「なんだって聞いてんだよ!!」 青が力任せに殴りかかってきた。 その時、俺は、自分が優等生ぶっていることとか、そうしなきゃいけない理由とか、今からその生活が終わってしまうかもしれないこととか、全部忘れて、青のパンチが俺に届く前に、青の顔面を思い切り殴っていた。
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