僕は真面目です

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「あんまり調子乗ってると殺すぞ?」 赤も立ち上がって俺の前に立つ。 「はっ、殺すぞ…だってよ?」 ネクタイを緩めながら、ニヤリと笑ってやった。 「てんめぇ!!」 赤が殴りかかって来る。 だから、 「三人同時に来いっつってんだろうが!!」 無駄に大振りな赤の懐に入ってアゴを打つ。 「がぁっ」 上を向いたまま仰向けに倒れる赤。 白眼剥いてるし、当分起きないだろう。 「ざけぇなおい、あんまり調子乗ってると…殺すぞ?」 「ひっ」という怯えた声が二つ。 ちょっと凄んだだけなのにホントにダメなやつらだ。 青も黄色も完全に戦意を喪失したらしい。 今ではガタガタ震えて小動物のように…可愛くない。 「あ、あの…」 声をかけられる。 目の前には女子生徒。 こちらの方がよっぽど小動物っぽい。 「どうしたの?」 声色をいい子ちゃんモードに戻す。 「え、えと…」 彼女が何か言う前に手をかざす。 「実は少しだけ格闘技を習ってたんだ」 聞かれる前に思い切りウソをつく。 俺の喧嘩殺法がちゃんとした格闘技な訳がない。 どう考えても失礼すぎる。
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