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「以上だよ、大丈夫?」
「うん、わかったよ」
説明するのに大して苦労はしなかった。
やはりと言うか、彼女はあまり人を疑ったり、口答えするタイプではないらしい。
こんなご時世に随分と純粋な性格をしている。
そりゃあわざわざあんな熱心に古典の授業を受けるわけだ。
彼女は、本当はこんな学校にいるべきレベルではないのだろう。
しかし、まぁ、そんなことは今はどうだっていい。
大事なのは俺の身だ。
「それじゃあ頼むよ」
一応念を押しておく。
「うん、任せて」
彼女の返事を聞いてから、俺は後ろ側の扉から、クラスに入った。
当然、彼女が入るのとほぼ同じタイミングだ。
案の定、彼女の方にクラスの人間の視線が集まる。
その間に俺は誰の目に留まることなく自分の席に着いた。
着席。
「ふぅ」
クラスメイトに囲まれてあたふたしている彼女を横目で見ながら思わずため息。
これでこの件は無事解決…
「ねぇ」
とはいかない様だ。
声をかけられた方は後ろ。
振り返ると一人の女生徒が座っていた。
「あんた、夏実と何話してたわけ?」
さて、どうしようか…
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