僕は真面目です

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……どうも、今俺は非常につまらん授業を受けている。 私立高校のクセになんでクビにならないのかわからない位下手くそな授業をする古典担当のハゲ教師が、黒板に古代文字みたいな文字を書くのに躍起になっている。 そのせいか、自分の後ろで好き勝手やってる生徒達には何にも気づかない。 「バカみてぇ…」 思わずボソリと呟いてしまった。 ただ、呟いてみたら本当にバカらしくなってしまってなんとか解読しつつノートに写す作業は止まってしまった。 俺の席は窓側で、右隣の奴は机に突っ伏して眠っている。 本当なら、俺もこの後の授業に備えて体力回復に挑みたいのだが、いかんせんそういう訳にはいかない。 何故なら、俺はこの学校で常に上位の成績を取り続け、真面目な生徒でいなければならないからだ。 基本的に俺は賢い人間じゃない。 クラスに一人はいる。 “勉強大好きっ子”とは違う。 家に帰ればゲームがしたいしテレビも見たい。 友達とカラオケに行ったりバカやって騒ぎたいのだが、諸事情により胸くそ悪いいい子ちゃんになっていないといけないのだ。 お陰様で教師からの評価は非常に高く、「生徒会長をやらないか?」とまで言われた。 あの時初めて本物の吐き気を体感した気がする。
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