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教師に受けがいい俺という男は、それに反比例するようにクラスでの影は薄い。
簡単に言うと「名前は知ってるけどどんな人かはわからない」ってやつだ。
俺としてはこの位置付けは非常に嬉しい。
何故ならこの学校、別に特別有名大学に進学する人間が多いような進学校ではない。
つまり、成績とかの意味ではない方の頭の悪い連中がいない訳ではないのだ。
だがまぁ、その様子を見ていればわかるのだが、どう見てもその連中は「僕達高校デビューしました」と宣言している様な奴らばかり。
無意味にふんぞり返ってどこが面白いのかわからない会話でゲラゲラと雑音を撒き散らす。
あぁ、今教室が静かなのはそいつらがどっかに行っていていないからだ。
普通の奴らは授業を受けなくても騒がしくはしない。
それが普通だろう。
じゃあ…さっきまで真面目にノートをとっていた俺は“普通”ではないのだろうか?
……なんて、どうでもいいことを考え出してしまう位、俺は暇だった。
クラスには友人はいない。
仕方ないから少しだけクラスを見渡してみる。
俺の席は後ろから二番目なので大体は見えるのだ。
そして見つけた。
もう一人、“普通”じゃあないやつ。
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