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そいつは一心不乱にノートにかじりついている。
しかし、ハゲが書き進めるために古い方の板書を消した瞬間、そいつはとても悲しそうにペンを止めて俯いてしまった。
どうやらちょうど書いていた部分を消されたらしい。
それは心が折れても仕方がない、なんて先に止めてしまった俺がわかった風な口を利くのはどうしたものか…。
キーンコーンカーンコーン
無機質な機械の音が校内に響く。
授業時間終了の合図だ。
「…あぁ、もうそんな時間か…。
じゃあ今日はここまでにしよう」
枯れきった声でそう告げる。
「起立…礼」
学級委員、つまりは俺なのだが号令をする。
ほとんどが礼なんてせずに立って椅子に座り直す中、ノート写しを頑張っていたやつだけ、律儀に礼をしていた。
まぁ、人のことは言えないのだが…。
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