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「た、ただ、少し酷すぎると思ったから…だってよ!!」
赤が気持ち悪いモノマネを披露すると、たちまち青と黄色が煩く笑う。
「え、えっと…」
女子生徒は完全に戸惑っていた。
ひとしきり笑うと、赤が言う。
「ちょっと屋上行こっか」
その笑顔は、俺が生徒会長を勧められた時並の吐き気を俺に覚えさせた。
「え、え?」
女子生徒は混乱してしまっている。
そんな内に青と黄色が女子生徒の逃げ道を塞いでしまう。
「早く行こうよ」
「ちょ、ちょっと…」
両腕を青と黄色に掴まれた女子生徒は引き摺られ気味に赤の後を着いて行かされる。
女子生徒は周りを見回すが誰も目を合わせようとしない。
誰だってそうだ。
面倒なことには巻き込まれたくない。
だが、何故だろう、教室からいなくなる時、俺と目があった気がした。
そして、はっとする。
あの女子生徒は、ノートをとっていた生徒だ。
何故今まで気づかなかったのだろうか。
いや、そんなことはどうだっていいことな筈だ。
彼女とは別に知り合いでも何でもないし、密かに恋心を抱いている訳でもない。
確かに、彼女はこのクラスでは結構な部類には入るかもしれない。
それでも地味なのは変わらなかった。
だから、俺は何故自分が席から立ち上がって教室を出ているのか意味がわからなかった。
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