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幸が居なくなった公園はしんと静まり、彼女の騒々しさがよく分かった。あの子が隣にいるだけでドンチャン騒ぎなのね。
紙袋から幸特製の手作りクッキーを取り出し、その香りを堪能する。コレが趣味で出来る物なのか。いいなぁ。
しばしその完成度の高さを鑑賞して口にゆっくり運ぼうとしたその時。
ガッ!
突然背後から大きな男の手が私の口を押さえつけた。
「!?」
「へへ……ようやく独りになったなお嬢ちゃん」
ドブ臭い息が鼻を刺激する。低く、汚く濁った声。なにコイツ? ずっと隠れてた?
ドラマや漫画でよくあるシーン。まさか自分が襲われるなんて考えもしなかった。怖い。けど幸が来るまでなんとか持ちこたえなくては。必死にもがいて逃れようとするがなかなか離れられない。
男の左手は口を押さえ、右足は動けないようにシッカリ私の足に絡めている。気持ち悪い。腰に硬い何かが当たっている。
やだ。
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ
恐怖が一気に増していく。
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