7人が本棚に入れています
本棚に追加
校舎の窓から校庭をぼんやりと見下ろす。
数学の時間はいつもそうして過ごしている。別に聞かなくても着いていけるし、頭もそれなりにいい方だ。無理してつまらない新人先生の授業なんて聞く必要がない。
「……」
私はただただ青い空に目をやった。
将来、天文学を学びたい。理由は単純。気になるから。私達の頭の上には常に空があり、その上には絶えず膨張していく宇宙というバカデカイ物がある。無駄に広くて、無駄に冷たく、無駄に無音。そんなワケの解らないバカデカイ生き物が私達の頭の上に確実に存在するのだ。
生き物というのはあくまでも例えだが、もし本当に生き物だとすれば私達の地球は差し詰め臓器といったとこだろう。いや、そんな大した物じゃない。言うなればガン。悪性の腫瘍だ。
スペースシャトルを打ち上げては、有害なデプリを放出し、あまつさえ他の惑星という臓器にまで浸食する。言わば私達、人間はガン細胞のような物。地球という腫瘍に人間というガン細胞。コレはあくまでも例えだがこういう考え方もある。
「和那。か~ず~な~?」
友人の羽鳥幸が私を呼ぶ。
「ん?」
窓の外を眺めたまま私は返事をすると小さなため息が聞こえた。
「授業終わりましたよ~?またお空の上の妄想?高梨先生だいぶへこんでたよ?」
「そう」
「そうってあんた……相変わらず変わんないわねぇ~」
「でしょうねぇ」
「…………はぁ」
また一つため息。
入学してからかれこれ2年になる。しかし私の性格は全く変わらず、また自分自身、変えるつもりもなかった。閉じてある教科書をしまい、先の思考をノートにまとめ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!