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「わぁあ!キレ~!」
私達は町外れの高台の公園に来ていた。
夜空に散りばめられた無数の星達。そのバックの澄んだ夜空もとても綺麗で私は思考さえ忘れていた。
「……」
「ね!来て良かったでしょ?」
「そうね。幸もたまにはいいこと言うのね」
「何よそれぇ~」
「冗談よ、冗談」
「む~」
幸から貰った暖かいココアを一口飲む。まろやかな口当たり。優しい甘さ。冷えていた胸の奥が温められる。幸は昔から料理に関しては人一倍うるさく、また自分で作ることにもこだわりがあった。
ココアパウダー、砂糖、少量の塩にホットミルク。他にもなにか隠し味があるらしいが私に教えはしない。理由を尋ねると幸は笑って「和那には無理だから」と言うばかり。いったいどんな隠し味なんだか……
「あ」
「どうかした?」
「いやぁ~、ちょっと……その」
モジモジと顔を少し赤らめて口ごもる幸。どうしたのかしら?
「ねぇ?幸。気分悪いなら……」
「はぐっ!?き、キタキタキタァアァアァアァアア!!」
私の言葉を遮り突然叫びを上げる幸。な、なに?
「5日分のアレが今頃キタのよぉおぉおぉおぉおおお!!」
そして立ち上がり猛ダッシュ。キタって……まさか。
「トイレに落とし物して来まぁあぁあああぁあぁああああす!!」
なるほど。便秘か。
「あんまり走ると出ちゃうわよ~」
「ふくっ!!」
幸の駆けていった方から必死に堪える声がする。さすがにコレばかりはお互い様なので怒れはしない。まあ生きてる証拠か。
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