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朝日が顔に差して目が覚めた。いつも通りの習慣で目覚ましより早く起きる。すると隣の布団には女性が眠っていた。十秒程固まる。額に手を当て寝起きの頭をフル回転させて状況を整理する。ここは僕の家で間違いない。加えて隣で寝てたのは凌駕だったはずだ。そこまで考えて一つ気付いた、この人、凌駕に似てないか、と。長い黒髪に鋭い吊り目は特徴が一緒だ。ただ違うのは男にはない目のやり場に困る膨らみがあるところだ。まるでそのまま凌駕を女性にしたような、とまで考えて頭を振る。いくら非現実的な生活とはいえ突飛過ぎるし馬鹿げている考えだと思う。答えの得られない自問自答が頭の中でループする。
「ん」
と、小さな目覚めの声がした。彼女は上半身を起こして寝ぼけ眼でこちらを見つめて一言、
「あんた誰?」
と僕の聞きたい台詞を言った。
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