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寝ぼけ眼で寝癖のついた彼女は肝が座っていて助かった。朝一番に悲鳴をあげられずに済んだ。
「えっと、とりあえずこの家の者なんですが」
僕は自分を弁護するためにそう言った。
「ちょっと待て、アイツ姉弟(きょうだい)がいるなんて一言も言ってなかったぞ」
何か会話が噛み合わない。
「ちょっと待って下さい。アイツって誰のことですか?凌駕のことですか?」
「は?」
ポカンと口を開けその人は呆然と僕を見る。
「って待て、なんで俺の名前知ってんだお前。俺の名前は公平しか知らないはずだ」
僕も彼女と同じ行動を繰り返す。今この人は何て言った?
「…」
「…」
お互い見つめ合いながら思考数秒。
「女になってる!」
見事にハモった。
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