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鞘から刀を抜き放ち、左手に鞘、右手に刀を持ち切っ先を刹那に向ける夾。対して刹那は、鎌を振り回し、いつでも迎撃できる体勢をとった
「行くぜ刹那。“水刃”」
刀に水を宿し、それを真一文字に振るう。水は鋭き刃となり、刹那に向かって飛んでいく。それをステップで躱すと、目の前に迫る夾の姿。刀と鞘を用いた変幻自在の剣戟が、嵐のように荒々しく、神速のごとき速さで。剣戟の速さには絶対の自信を持っている夾は、その力を惜しむ事なく刀を振るう。しかし
「うわ、こら気ィ抜いたら微塵やな…」
「…マジかよ」
刹那はその剣戟全てを、鎌を巧みに操って防いでいた。絶対防壁。いくら刀を振るえど。いくら型を変化させても。全て弾かれていく。千日手となった夾は一度後ろに下がりつつ、切っ先を向け、能力の発動を宣言する
「水よ、龍となりて全てを喰らい尽くせ!“爆砕龍破”!」
刀身から水が噴き出し、それは巨大な龍へと姿を変える。圧倒的な質量を持ったそれは、目の前にいる敵―――刹那に、殺意を持って襲い掛かる
「うわ、キツイなこりゃ…っ!」
横っ跳びで何とか躱す。しかし、それだけで龍は終らず、更に追撃を仕掛ける。上に跳ぶと自殺行為なのは承知しているので、横か後ろか。もう一度前方から迫りくる龍を避け、体勢を立て直し
「いらっしゃーい」
「……ッ!?」
本能的に身を屈めた。上空を通るは煌めく白刃。確認する間もなく屈めた体勢から後ろ蹴りを放つ。が、鞘によってガードされる。その隙に身を起こし後ろにいるであろう夾の姿を確認
「…休まる暇が無ェ!」
することもできずに大きく横っ跳び。瞬間、刹那がいたところに水龍が上から激突した。巻き上がる大量の水しぶき。それに目もくれず、夾の気配を感じとる。今度は防ぐことができた。後ろから現れた刃を鎌でガードし、振り向き様に裏拳を放つ
「がっ、いってぇ…おらァ!」
「ぐふっ!」
裏拳は夾の顔面にヒットしたが、浅かったようでダメージはあまりなく、カウンターとして腹部に鞘の一撃を喰らった。一瞬刹那の動きが止まる。その隙を、見逃すような夾ではない。畳みかけるがごとく、水龍が刹那に襲い掛かる
「やば…っ!?」
膨大な質量を持った水が、刹那に直撃した
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