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追いかけっこの翌日の朝。刹那と橙(れん、と読む)は己の通う大学へ向けて歩を進めていた
「あ゛ー、大絶賛で筋肉痛や……」
「自業自得だ、諦めろ」
「冷たいのぅ、俺ァ悲しいぜれんちゃん」
「誰がれんちゃんだ。…そういえば、あいつは?今日確か朝からだろ」
「そやったっけ?…そしたら迎えに行こか?」
「是非行こう。昨日からむさ苦しいのしかなかったからそろそろ癒しが欲しい」
「…そのむさ苦しいのには、俺も入ってるんだろうか」
「当たり前だ、ほら行くぞ」
「…まだ二十歳なんやけどな…むさ苦しい………」
******
「さて、着いたぞ。さっさと呼んでこい」
「照れちゃってー。年頃の小学生か」
「そのいつでも快晴な頭ん中ぶち壊してやるからこっち来い。今なら無料だぞ」
「だが断る。とゆーわけでぽちっとな」
二人がやってきたのは至って普通の一軒家。二人が住んでいる寮からやや離れていて、方角は真逆である。その家のインターホンを、刹那が押す。ピンポーンと電子的な音が響いたあと、バタバタとした雰囲気が漂ってきた
「……まったりしてたんやな」
「まったりしてたんだな」
待つこと約二分。ガチャリ、とドアが開き、中から出てきたのは―――
「なんと!幻の生物であるマツコデラッ「やかましい。おはよう、蜜柑」
「お、おはよ橙。せっちゃんもおはよ。……待った?」
―――中から出てきたのは、背格好容姿共に小動物系の女の子だった。名前は日下蜜柑。歳は橙達の一つ下である
「いや、大丈夫だ。朝から講義だったよな、今日って」
「うん、ごめんね。わざわざ迎えに来てもらって」
「いいって、気にすんな。じゃあ行こうか」
「うん、そうだね。ほら、ボケを瞬殺されたからっていつまでも落ち込んでないで、行くよせっちゃん」
「うぅ、見捨てないでくれるとは優しいのぉ。どこかのジミーとは大違いや」
「悪かったな優しくなくて。とりあえず遅刻しそうだからさっさと行くぞ」
中学時代からの友人である三人は、今日も和気藹々としながら己が通う大学、蒼盟学園へと歩いていった
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