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雨の中、冷たいコンクリートの上で黒いワンピースを着た少女が、水溜まりの水を犬の様に這いながら飲んでいる。
「おいしい、おいしい、おいしい」
スーツを着た通行人がそれを見て言う。
「いや、本当は不味いだろう」
「うん。本当は不味い。でもこの雨水はおいしいの。なんでだろう、苦くて臭くて砂が混じってて、戻しそう。
邪魔しないで。
おいしい、おいしい、おいしい…」
次の日、少女は同じ場所には居なかった。
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