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殴っても倒れない敵ほど恐ろしいものはない。
『………なんだ、もう終わりか?』
『うっ………帰るぞっ!!』
『お、おぅ………』
男達はそそくさと帰っていた。俺は男達を見送ってから、杏里の方へと近づいた。
『大丈夫か?』
杏里はビクリと首をくすめてから
『だ、大丈夫です………』
と言って俺を見上げた。今気付いたが杏里は非常にかわいらしい顔立ちをしていた。
うむ、確かにナンパされるのは仕方ないな。背は160㌢くらいだろうか、髪は綺麗な栗色で肩より少し長いようで………ツインテールだった。
何故ツインテール………いやっ、似合ってないわけじゃないけど、その年齢でするのか?
だいたいツインテールというものは小学生、中学生で終わりだと思っていたのだが………杏里はどう見ても高校生だった。
何故分かるかって?それは―――俺の高校の制服を着ていたから―――。
『あ、案内して下さいっ!!』
『………何処に?』
杏里は当然というように
『夜さんの家ですっ!!』
と胸を張って答えた。
『…………はぁ』
どうなるんだ、俺………。これが神のみぞ知るってやつか………
『はぁ~』
俺は再度、ため息をついた。
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