序章

2/2
前へ
/6ページ
次へ
ずっと昔からここにいたような気がする。 でも、それも確かな感じがしない。 地を張っているのか、漂っているのか。 僕は今なにをしているんだろう。   何も見えない、何もわからない。 でも、今はそれで良い気がする。 気のせいじゃない、やっぱり彼女は微笑んでいる。 暗闇の中に浮かぶ彼女の顔。 その瞳が、痛いほどまっすぐに僕を見ている。 なにがそんなに可笑しいんだろう? 僕は黙って彼女の横を通り過ぎた。 本当の闇って、こんな風景の事を言うんだろう。 風景? いや、そうじゃない。そういう感じじゃない。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加