13人が本棚に入れています
本棚に追加
距離にして5メートル程先の暗闇に浮かぶ2つの赤い光
それがなんなのかまったく理解できなかった
が、すぐにわかった赤い光は眼だった
もちろん人間のではない
そこにいたのは一言で言うなら怪物だった
尖った岩を連想させる漆黒の体
鋭くしなやかな日本刀を思わせる爪
開いた口は血のように赤く
銀に光る牙と胴体の黒そして深く赤い瞳による配色には見とれそうになった
が、その暇もなかった
一瞬姿が消えたかと思った瞬間
そいつは目の前に現れた
異常な移動速度に思考が停止する
目の前ではそれを好機と見たのか怪物が丸太のような腕を振り上げた
そしてスローモーションでその手は振り降ろされた
いや…おそらくスローモーションに見えただけで実際は振り上げた何倍もの速度だったのだろう
が、俺の目にはゆっくり迫って見えた
そしてその腕が俺の額に触れた瞬間
くるみを割ったような軽い音と共に俺の意識は闇に消えた
最初のコメントを投稿しよう!