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気を失ってから何時間たっただろうか
俺は血の海にいた
昨夜と同じコンクリートの地面に仰向けに寝ていた
違うのは自分を中心に血溜まりができていることくらいだ
「俺は…確かに死んだはずなのに…」
昨夜とまったく同じ台詞を吐きながら上体を起こす
そして視線の先には女性がいた
「大丈夫?
何回殺されたかわかる?」
その女性は開口一番によくわからないこと言ってきた
「人は何回も死ぬものなのか?」
当然ながら人は1回死ねば終わりである
これは言うまでもない事だがその女性があまりに自然に聞いてきたので疑問を口にしてしまった
「生きていたなら1回しか死ねないわよ
でもこの世界は何回も死ねるの」
「この世界?」
「そう、この世界」
なにが言いたいのかまったくわからない
「もしかして…この世界がどこかわからない?」
「ぜんぜんわかんない」
「自分が死んだことは?」
「覚えてる」
「その後は?」
後?
「昨夜ここで目を覚ました」
「その前は?」
前?
「だから死んだ」
「契約書にサインとかしなかった?」
契約書?
「俺は借金が貯まって死んだわけじゃないが…」
「おかしいわね…」
なにがおかしいのかまったくわからない
「あなたなんでこの世界にいるの?」
俺が聞きたいさ
「それより昨日の黒い化け物はなんなのか教えてくれ」
あんなものは普通の世界にいるはずがない
「あぁ、悪魔よ」
悪魔
そう言ったのだろうか
「悪魔よ
私達の魂を狩ろうとするね」
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