01-竜を狩る者・序

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視界の左上の方に『通信』の文字が浮かび上がった。 今、一緒にこのクエストに参加している仲間からの連絡がきた合図だ。 「表示」と頭の中で念じると、今度は地図の画像が、視界の片隅に出てくる。 地図上、右上の地点に赤い●が点滅しているのを見つけた。 「拡大」と念じると、赤い●の地点の周辺が拡大される。 現実世界では、よく道に迷って、携帯電話のナビ機能にお世話になりっぱのオレとしては、ほんとこの機能便利だな、といつも思うよ。 猛ハンの世界観では、他の多人数プレイのネットワークゲームと違って、離れた仲間には、文章やらのメッセージを送ることはできない。 代わりに、今みたいに、色が分けられた信号を出すことができる。 まぁ狼煙(のろし)程度の通信だよね。 だけど、仲間内で、あらかじめ色に意味を決めていれば、この通信も非常に有効だ。 オレたちのチームでは、赤い●の信号は、『目標発見』。 すなわち討伐すべきボスモンスターとの接触を意味する。 地図を改めて確認すると、今いる所からめっちゃ間近のエリアであることが分かる。 このゲームを何度もプレイしているオレの頭には、すぐに最短ルートが浮かんだ。
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